世界一流選手のスタートダッシュ動作
今回の記事では、これまで書いたことがなかったスタートダッシュ動作について説明していきたいと思います。
世の中の短距離選手の中には、スタートダッシュ動作が好きで好きでたまらない選手も多くいると思います。
(私は、山縣選手のスタートダッシュがとても好きです)
今回は、世界陸上選手権大会に出場している短距離選手の特徴についてまとめていきたいと思います!
紹介する論文
「世界一流陸上競技者のパフォーマンスと技術」に掲載されている男女短距離選手のスタートダッシュ動作というテーマの部分を説明していきたいと思います!
https://qoly.jp/2017/08/06/shinji-okazaki-at-world-athletics-championships-2017-iks-1より引用
論文の内容
対象者
第11回世界陸上選手権大会の100mに出場している男子選手4名と女子選手3名の計7名を分析対象としています。
男子選手
タイソン・ゲイ(9.85)
アサファ・パウエル(9.96)
朝原宣治(10.14)
塚原直貴(10.20)
女子選手
キャンベル(10.99)
ウィリアムス(11.01)
高橋萌木子(11.98)
結果
すべての選手に見られた結果は6つありました。
とりあえず、下にその6つの特徴を挙げます。何を書いているのか分からないものがあると思いますが、それは後ほど説明していきたいと思います。
◯スタート後の速度増加とともにストライドが増加する
◯スタート後ピッチは、2歩目あたりまで増加して、その後は一定になる。
◯スタート後の速度増加とともに歩隔(前から見た時の左足と右足の幅)は減少する
◯スタートダッシュでは、股関節と膝関節を伸展する(伸びる)キック動作である。
◯足関節の屈曲(曲がること)及び、伸展角変位はスタートから中間疾走まで変化しない。
◯スタートダッシュでは、膝から下をほぼ固定したまま、太ももの前方向回転により膝関節を伸展するキック動作をしている
上から3番目までは、特徴についてまとめてあるので、説明はしません。
ちなみに、歩隔については、スタートダッシュから少しずつ減少することは、これまでにも特徴として報告されていました。
私の先輩は、これについての研究をしていましたが、上手く研究結果が出ていませんでした。
では、下から3つの難しい結果について説明していきたいと思います!ここからが、短距離選手には知っておいてもらいたい内容です!!
http://55funta.blog.fc2.com/blog-entry-442.htmlより引用
特徴解説
https://www.jaaf.or.jp/pdf/about/resist/t-f/11iaaf_osaka.pdf#search=%27世界陸上分析%27より引用
この写真で示されていることが全てです。
◯スタートダッシュから中間疾走に移り変わっていく中で、足首の関節の角度はほとんど変わることがなかったと報告されています。
つまり・・・
足首の関節はロックした状態で走っている
→これは、「バネ作用」を使うために理想的です!
◯スタートダッシュ動作
地面に足が接地してから下腿(膝から下)の傾きは変わらないまま、太ももの部分が前方向に移動していくような動きの特徴が見られました。
◯中間疾走
地面に足が接地してから、太ももと下腿(膝から下)のどちらも前方向に移動して動き、その時に、膝の角度があまり伸びない動きをしているという特徴が見られました。
これまでの研究では、膝を曲げて身体の前に戻してくることが有効であると言われていました!しかし、この研究では、トップ選手は、膝をあまり曲げずに戻してくるということが明らかになりました!
まとめ
世界レベルのトップアスリートでは、スタートダッシュ動作と中間疾走では、下半身の動きにちがう特徴がある。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
他にも、科学的な内容を記事にまとめています!