スプリント走における腕振りの科学

フリー素材トレーニングの科学

正しい腕振りは存在するのか!?

短距離選手からの質問として、

「腕を横に振ってしまうのですが大丈夫ですか?」
「腕を真っ直ぐふることができません!」

といったようなものが非常に多いです。

そこで今回は、このような疑問を持っている人のために、「腕振り」の役割について研究を紹介していきたいと思います。

紹介する論文

「スプリント走における腕振りの役割」
この論文は、陸上競技研究という論文誌に2010年に掲載された腕振りに関する研究です!

この論文を書いている前田正登さんは、他にも陸上競技に関する論文を発表しており、信頼性は非常に高いと思います。

研究の目的

通常の全力疾走と上半身を固定したときの全力疾走とを比較・検討することにより、スプリントにおける腕振りの役割を確かめようとした実験です。
始めてみた時、なんてユニークなんだと思いました笑
そう思った理由が上半身の固定方法です↓

引用元http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/90001691.pdf

実験方法

実験に参加したのは、短距離走を専門としている男子高校生8名です。
スタンディングスタートで50mを全力疾走として、通常の全力疾走と、上半身を固定しての全力疾走を2本ずつ走ることとした。
タータンの上でスパイクシューズを履いて、実験をしているので実践非常に近い状況で実験していると考えられます。

結果

この研究では、主に腕振りにおける2つのことが分かりました。

①上半身を固定したことにより、疾走速度、ストライド、ピッチは減少することが明らかになりました。

②腕振りの役割には個人差がある。

論文のまとめ

スプリント中の腕振りというのは、疾走速度を増加させるために重要な役割を担っている事がわかった。しかし、腕振りがピッチを増加させるのか、ストライドを増加させるのかについては、個人間で差があることが分かった。

腕振りの効果がわかりにくい理由

科学の世界では、これまで永遠の謎とされていたことが分かったり、常識的な内容がくつがえされたりということが毎日のように起きています。

腕振りというの効果は、上半身から下半身までの動作のつながりについて説明しなければならず、それを表すための決定的な方法が未だに見つかっていません。

今、現在ではスプリント中の腕振りに関しては、速く走るのには必要だが、”正解”というものが見つかっていません。

これから、もし、腕振りの役割が判明することがあれば紹介したいと思います!

選手に伝えたいこと

この記事に関連して、どうして私が、このようなトレーニングの科学について発信するようになったのかを伝えたいと思います!

短距離選手は、「腕を真っ直ぐ振るのが良い!」と言っている指導者や体育の先生が周囲にいませんか?

私は、なぜ、根拠のない指導で選手を迷わせるようなことをするのかということに疑問をいだいていました。科学の世界で分かっていないことを当たり前かのように指導することが嫌だったのです。

基本的にスポーツは、根性論で強くなるのではなく、科学的に証明された正しいトレーニングを努力で積み重ねていくから強くなるものだと考えています。
そうでなければ、スポーツを分析している研究者の意味がなくなってしまいます。

それならば、自分から正しいトレーニングや体の動かし方を伝えていきたい、と思って発信しています。

もし、少しでも書いている記事を読んで、選手の悩み事が解決されれば良いなと考えているので、これからもよろしくお願いします!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

良ければ他の記事も読んでみて下さい!

陸上選手のピッチとストライドの関係
ピッチとストライドは、疾走速度に関係が深い 陸上競技をしている選手は、ピッチとストライドという問題に悩んでいる人が多いと思います! ピッチは、どうしたら上がるだろうか? ストライドは、どうしたら伸びるだろうか? 自分自身も、そのよう...

タイトルとURLをコピーしました